クリスマス・イルミネーション
11月26日
月曜日、愛由美の授業だった。
英語の発音は、日本語より口元が動く。
桜色の小ぶりの唇が目を引いた。
「OK、Please read through it.」
日本語ではあまり姿を見せない舌も見える。
和希はじっと見入っていた。
昨日は触れる事が出来なかった唇があった。
あの時、無理矢理キスをしても愛由美は怒らなかったと自信がある。
口では嫌がっていたが、きっとしてしまえば嬉しそうにはにかむだろうと想像する。
その姿を想像して、体が熱くなるのを感じる。
それでもしなかったのは、何故だろう。
楽しげに微笑む唇、紅茶のカップから名残惜しげに離れる唇、怒って少し尖らせた唇も色っぽかった。
食事の時、舌がほんの少し唇を舐めるのも見た。
和希は溜息を吐いた。
(……欲求不満だな、これは)
思ってもう一度、溜息を吐く。
*
石川町まで出て、ラブホテルで水野と過ごした。
水野は先約があったようだが、久々の和希との逢瀬に、そちらは断って和希について来た。
「あー、この映画、観たいー!」
和希の裸の胸に頭を乗せ、テレビを観ていた水野が声を上げる。
横目で見た和希は「ふーん」と大して興味もないように言う。
ファンタジー物の洋画だった。
「水曜日から公開かあ、和希、観に行こうよ!」
「……ああ」
心ここにあらずな返事だが、水野は気にしない。
(……愛由美も好きそうだな)
大きな竜が画面を飛び抜けて行くのを、のんびり見ていた。
英語の発音は、日本語より口元が動く。
桜色の小ぶりの唇が目を引いた。
「OK、Please read through it.」
日本語ではあまり姿を見せない舌も見える。
和希はじっと見入っていた。
昨日は触れる事が出来なかった唇があった。
あの時、無理矢理キスをしても愛由美は怒らなかったと自信がある。
口では嫌がっていたが、きっとしてしまえば嬉しそうにはにかむだろうと想像する。
その姿を想像して、体が熱くなるのを感じる。
それでもしなかったのは、何故だろう。
楽しげに微笑む唇、紅茶のカップから名残惜しげに離れる唇、怒って少し尖らせた唇も色っぽかった。
食事の時、舌がほんの少し唇を舐めるのも見た。
和希は溜息を吐いた。
(……欲求不満だな、これは)
思ってもう一度、溜息を吐く。
*
石川町まで出て、ラブホテルで水野と過ごした。
水野は先約があったようだが、久々の和希との逢瀬に、そちらは断って和希について来た。
「あー、この映画、観たいー!」
和希の裸の胸に頭を乗せ、テレビを観ていた水野が声を上げる。
横目で見た和希は「ふーん」と大して興味もないように言う。
ファンタジー物の洋画だった。
「水曜日から公開かあ、和希、観に行こうよ!」
「……ああ」
心ここにあらずな返事だが、水野は気にしない。
(……愛由美も好きそうだな)
大きな竜が画面を飛び抜けて行くのを、のんびり見ていた。