クリスマス・イルミネーション
*
すっかり辺りが暗くなって、愛由美は帰宅した。
アパートの外構の植え込みに座り込んで、スマホを見ている男がいた。
怪しい人物かと一瞬怯んだが、すぐに画面の明かりに照らされた顔に気付く。
「……武藤くん……!」
声に気づき、和希は顔を上げた。
「遅かったな」
「朝にできなかった仕事があったから……って、なんで武藤くんがいるの? もう会わない方が」
「まだ聞いてないからな」
「なにを?」
和希はニヤリと笑うと、愛由美のマフラーを掴み引き寄せた。
「俺を好きだって」
愛由美は顔中を真っ赤に怒り出す。
「もう、しつこい! 無理だって言ってるじゃない!」
「しつこいのはお前だ。素直に言えばいいだけだろ、素直に言わないとお仕置きだぞ」
鼻が付きそうな距離で怒鳴りあう。
「やなの! 無理なの! 好きにはなれないの!」
「無理無理って、それしか言えないのか」
愛由美は口を結んで抵抗する。
和希はふんっと鼻を鳴らして、手を離した。
「とにかく、体が冷えた。早く中に入れてくれよ」
「どれくらい待ってたの? 待ってるくらいなら、連絡くれたら良かったのに」
「逃げられて帰ってこないとも限らないからな」
和希が持つ鞄に気付いた。学生鞄と共に、小さなボストンバッグを持っていた。
「え? なに、その荷物……」
学生鞄を持っているなら持っていないはずの荷物だと思えた。一回帰宅したのなら、学生鞄は持っていなくていい筈だ。
「今日から一緒に住む」
「何言ってるの!? お兄さんに頭下げてまで誤解解いてもらったのに!」
「誤解じゃねえし」
愛由美は二の句が出ない。
「入れてくれないなら、今すぐクラスのグループラインに、お前と付き合ってるって流すぞ」
「ま、待って、そんなことして、武藤くんだって困るんじゃ……」
「浩一に頼んでまで嘘をつかせたのは、お前の為だ。先生、辞めたくないんだろう?」
「う、うん……」
「俺はお前が教師だろうがなんだろうが関係ない。お前が手に入るなら、全部バラしたっていい。昨夜の事だって事細かに話してやる」
「なっ……」
愛由美は真っ赤になって口籠る。
「言い触らされたくなかったら、今日から俺を家に置けよ」
「い……っ!」
「嫌なら」
和希は持っていたスマホの画面を見た。
愛由美は慌てて画面の前に手を差し出す。
「交渉成立か?」
「何処が交渉よ! 脅しの間違いでしょ!」
怒鳴る愛由美から、和希は鞄を奪い取った。
「えっ……!」
鞄から鍵を出し、アパートの入口を開ける。
「ちょっと!」
「一緒に来ねーと、締め出すぞ」
「む、無茶苦茶だよ……っ」
愛由美は慌てて和希の後をついて行く。
部屋のドアの開けたのも和希だ。
玄関に入ると、三つの鞄を放り出し、後から入ってきた愛由美を直ぐに抱き締めた。
「武藤くん!」
「体が冷えたって言ってるだろ、あっためてくれよ」
愛由美は直ぐにその体を押し返す、しかし愛由美は背を壁に押し付けられる。
「ばか……っ!」
言う唇を、和希は口で塞ぐ。
和希は止まらない、愛由美のマフラーを外し、コートを脱がし、ベルトを外すとスラックス毎床に滑り落とす。
「いや……っ」
「嘘言うなよ」
「今朝だって……っ」
「だから、10代の性欲なんてこんなもんだって。随分我慢してきたしな」
和希は笑いを含んだ声で言う、言いながら自分もコートを脱いだ。
まだ制服のままだった、愛由美は息を呑む。
教師と生徒、その現実が目の前にある。
「本っ当に……っ!」
愛由美は精一杯、腕に力を込める。
「それ以上したら、嫌いになるから!」
声を張り上げると、和希は一瞬驚いたように目を見開いたが、すぐににやりと人の悪い笑みを浮かべた。
「嫌いになるって事は、好きって事だよな」
「えっ、違う!」
「好きって言えよ、そうしたらやめてやる」
「言わない!」
「あそ」
和希はどんな回答でもやめるつもりはなかったのだろう、愛由美の小さな体を肩に担ぎ上げた。
「えっ、ちょっと……っ!」
肩に担ぎ上げたまま、愛由美のパンプスと一緒に足首に引っかかっていたスラックスを床に落とす。
愛由美は最後の抵抗で暴れてみるが、全く無意味だった。
和希は愛由美をベッドに放り出し、すぐさま覆い被る。
「授業中もヤバかった、昨夜のお前思い出して」
耳元で笑いながら言い、手は愛由美のジャケットを脱がしにかかる。
愛由美は青ざめて体を捩った。
「だから、やめた方がいいって判ったでしょ!」
「いいから大人しくしてろ」
低い声で言って、愛由美の首筋に歯を立てる。
「素直じゃない愛由美に、お仕置きの時間だ」
その声音に愛由美は息を呑む。
「手、冷たいけど勘弁な」
笑いを含みながらも、艶のある声に。
すっかり辺りが暗くなって、愛由美は帰宅した。
アパートの外構の植え込みに座り込んで、スマホを見ている男がいた。
怪しい人物かと一瞬怯んだが、すぐに画面の明かりに照らされた顔に気付く。
「……武藤くん……!」
声に気づき、和希は顔を上げた。
「遅かったな」
「朝にできなかった仕事があったから……って、なんで武藤くんがいるの? もう会わない方が」
「まだ聞いてないからな」
「なにを?」
和希はニヤリと笑うと、愛由美のマフラーを掴み引き寄せた。
「俺を好きだって」
愛由美は顔中を真っ赤に怒り出す。
「もう、しつこい! 無理だって言ってるじゃない!」
「しつこいのはお前だ。素直に言えばいいだけだろ、素直に言わないとお仕置きだぞ」
鼻が付きそうな距離で怒鳴りあう。
「やなの! 無理なの! 好きにはなれないの!」
「無理無理って、それしか言えないのか」
愛由美は口を結んで抵抗する。
和希はふんっと鼻を鳴らして、手を離した。
「とにかく、体が冷えた。早く中に入れてくれよ」
「どれくらい待ってたの? 待ってるくらいなら、連絡くれたら良かったのに」
「逃げられて帰ってこないとも限らないからな」
和希が持つ鞄に気付いた。学生鞄と共に、小さなボストンバッグを持っていた。
「え? なに、その荷物……」
学生鞄を持っているなら持っていないはずの荷物だと思えた。一回帰宅したのなら、学生鞄は持っていなくていい筈だ。
「今日から一緒に住む」
「何言ってるの!? お兄さんに頭下げてまで誤解解いてもらったのに!」
「誤解じゃねえし」
愛由美は二の句が出ない。
「入れてくれないなら、今すぐクラスのグループラインに、お前と付き合ってるって流すぞ」
「ま、待って、そんなことして、武藤くんだって困るんじゃ……」
「浩一に頼んでまで嘘をつかせたのは、お前の為だ。先生、辞めたくないんだろう?」
「う、うん……」
「俺はお前が教師だろうがなんだろうが関係ない。お前が手に入るなら、全部バラしたっていい。昨夜の事だって事細かに話してやる」
「なっ……」
愛由美は真っ赤になって口籠る。
「言い触らされたくなかったら、今日から俺を家に置けよ」
「い……っ!」
「嫌なら」
和希は持っていたスマホの画面を見た。
愛由美は慌てて画面の前に手を差し出す。
「交渉成立か?」
「何処が交渉よ! 脅しの間違いでしょ!」
怒鳴る愛由美から、和希は鞄を奪い取った。
「えっ……!」
鞄から鍵を出し、アパートの入口を開ける。
「ちょっと!」
「一緒に来ねーと、締め出すぞ」
「む、無茶苦茶だよ……っ」
愛由美は慌てて和希の後をついて行く。
部屋のドアの開けたのも和希だ。
玄関に入ると、三つの鞄を放り出し、後から入ってきた愛由美を直ぐに抱き締めた。
「武藤くん!」
「体が冷えたって言ってるだろ、あっためてくれよ」
愛由美は直ぐにその体を押し返す、しかし愛由美は背を壁に押し付けられる。
「ばか……っ!」
言う唇を、和希は口で塞ぐ。
和希は止まらない、愛由美のマフラーを外し、コートを脱がし、ベルトを外すとスラックス毎床に滑り落とす。
「いや……っ」
「嘘言うなよ」
「今朝だって……っ」
「だから、10代の性欲なんてこんなもんだって。随分我慢してきたしな」
和希は笑いを含んだ声で言う、言いながら自分もコートを脱いだ。
まだ制服のままだった、愛由美は息を呑む。
教師と生徒、その現実が目の前にある。
「本っ当に……っ!」
愛由美は精一杯、腕に力を込める。
「それ以上したら、嫌いになるから!」
声を張り上げると、和希は一瞬驚いたように目を見開いたが、すぐににやりと人の悪い笑みを浮かべた。
「嫌いになるって事は、好きって事だよな」
「えっ、違う!」
「好きって言えよ、そうしたらやめてやる」
「言わない!」
「あそ」
和希はどんな回答でもやめるつもりはなかったのだろう、愛由美の小さな体を肩に担ぎ上げた。
「えっ、ちょっと……っ!」
肩に担ぎ上げたまま、愛由美のパンプスと一緒に足首に引っかかっていたスラックスを床に落とす。
愛由美は最後の抵抗で暴れてみるが、全く無意味だった。
和希は愛由美をベッドに放り出し、すぐさま覆い被る。
「授業中もヤバかった、昨夜のお前思い出して」
耳元で笑いながら言い、手は愛由美のジャケットを脱がしにかかる。
愛由美は青ざめて体を捩った。
「だから、やめた方がいいって判ったでしょ!」
「いいから大人しくしてろ」
低い声で言って、愛由美の首筋に歯を立てる。
「素直じゃない愛由美に、お仕置きの時間だ」
その声音に愛由美は息を呑む。
「手、冷たいけど勘弁な」
笑いを含みながらも、艶のある声に。