クリスマス・イルミネーション
「……それで、服も、いつもパンツスーツなんだ? 女っぽさを出さないように?」
「うん。うん? よく知ってるね?」
「あ、ああ、和希に聞いて……可愛い気ないって」
「ええ!? 武藤くんめっ」
「昨日、可愛かったから、そんな風に話を持って言ったら、あり得ないって言われたんだよ」
(それは本当だよ)
和希は心の中で呟いた。
「えっ、あ、ありがとう……だったら学校ではうまくできてるってことだよね、うん、良かった……」
一人納得して食べる愛由美を、和希はじっと見つめた。
「……そんな思いしてまで。なんで教師なんかやってるの?」
「うちね。両親も姉達も小学校の教諭やってる、先生一家なのよ」
麺を一口頬張ってから、言葉を繋ぐ。
「なんとなく教師にはならないって選択肢はない雰囲気で。でも体育と算数が苦手だから、小学校は無理だなって思って、なんとか得意な英語の先生にはなってみたけど、できればほかの仕事に就きたいかな」
「なんで?」
「尋子なんか見てると楽しそうで……あ、昨日の幹事の子ね。OLって響きがいいじゃない」
「響きねぇ」
まだ将来のことなど考えていない和希には、今ひとつピンとこなかった。
*
店を出ると、愛由美は温度差から体を震わせた。
「昼間はまだあったかいけど、夜は冷えるね」
和希はそう言うと、愛由美の肩を抱いた。
「え……!?」
「少しはあったかいでしょ」
微笑まれて、愛由美は「うん」と答えていた。
「さて。食べ終わったし、帰るつもり? デートの続きをするつもりは?」
「で、デート!?」
真っ赤になって言う愛由美に、和希は吹き出す。
「もう、さっきから言ってるじゃん」
「だってっ、昨日会ったばっかりなのに……!」
「いいじゃない」
「そもそも、ご飯食べようって!」
「だから。食べたから帰るのかって聞いてるの。帰りたいの?」
「帰り……」
「帰さないけど」
肩を抱く腕に力を込める。
「え!?」
見上げた和希は、にやりと人の悪い笑顔を浮かべていた。
「少しくらいいいでしょ?」
「……結構、強引……っ」
「行こ行こ」
自分でも意外だった。別人のフリをして恋をするのも楽しいかも知れない。
「うん。うん? よく知ってるね?」
「あ、ああ、和希に聞いて……可愛い気ないって」
「ええ!? 武藤くんめっ」
「昨日、可愛かったから、そんな風に話を持って言ったら、あり得ないって言われたんだよ」
(それは本当だよ)
和希は心の中で呟いた。
「えっ、あ、ありがとう……だったら学校ではうまくできてるってことだよね、うん、良かった……」
一人納得して食べる愛由美を、和希はじっと見つめた。
「……そんな思いしてまで。なんで教師なんかやってるの?」
「うちね。両親も姉達も小学校の教諭やってる、先生一家なのよ」
麺を一口頬張ってから、言葉を繋ぐ。
「なんとなく教師にはならないって選択肢はない雰囲気で。でも体育と算数が苦手だから、小学校は無理だなって思って、なんとか得意な英語の先生にはなってみたけど、できればほかの仕事に就きたいかな」
「なんで?」
「尋子なんか見てると楽しそうで……あ、昨日の幹事の子ね。OLって響きがいいじゃない」
「響きねぇ」
まだ将来のことなど考えていない和希には、今ひとつピンとこなかった。
*
店を出ると、愛由美は温度差から体を震わせた。
「昼間はまだあったかいけど、夜は冷えるね」
和希はそう言うと、愛由美の肩を抱いた。
「え……!?」
「少しはあったかいでしょ」
微笑まれて、愛由美は「うん」と答えていた。
「さて。食べ終わったし、帰るつもり? デートの続きをするつもりは?」
「で、デート!?」
真っ赤になって言う愛由美に、和希は吹き出す。
「もう、さっきから言ってるじゃん」
「だってっ、昨日会ったばっかりなのに……!」
「いいじゃない」
「そもそも、ご飯食べようって!」
「だから。食べたから帰るのかって聞いてるの。帰りたいの?」
「帰り……」
「帰さないけど」
肩を抱く腕に力を込める。
「え!?」
見上げた和希は、にやりと人の悪い笑顔を浮かべていた。
「少しくらいいいでしょ?」
「……結構、強引……っ」
「行こ行こ」
自分でも意外だった。別人のフリをして恋をするのも楽しいかも知れない。