クリスマス・イルミネーション
*
近くの横浜モアーズにあるスターバックスに寄ってみたが、満席で座れなかった。
和希はグランデサイズのカフェモカを購入する、勿論これは和希のお金だ。
店を出ると、ジーンズのポケットに手を入れたまま、
「ん」
肘で愛由美を突く。
「え?」
「腕、組もう」
「えええー……」
言いながらも愛由美は掌をその腕にかける。
(意外と素直なんだな)
和希は微笑んだ。
二人は連れ立って歩き出す。
西口から東口へ。
地下街に入ると、クリスマスの飾り付けが目立った。
「クリスマスかあ……」
愛由美が呟く。
「近くになったら、どっかイルミネーション、見に行く?」
和希は笑顔で聞いた。
「……」
愛由美は見上げたきり、言葉を発しない。
「なに?」
「……なんでも。考えとく」
愛由美は不服そうな表情で顔を背けた。
和希は気にはなったが、敢えて突っ込まなかった。
どうせ男慣れしてないからだろうくらいに思っていた。
横浜そごうの屋上に着いた。
「わあ……」
夜景を見た愛由美は歓声を上げる。
「初めて?」
和希は満足そうに聞いた。
「ビアガーデンに来たことあるけど、こんなに綺麗だなんて知らなかった!」
みなとみらい地区の夜景が、目の前に広がっていた。
「すごーい! 連れて来てくれてありがとう!」
素直な感想と、とびきりの笑顔を向けられて、和希は思わず視線を彷徨わせる。
その時一陣の風が吹いた。
薄着の二人には冷たい風が。
「ひゃあ」
愛由美は思わず首元を手で覆う。
和希は、背後から愛由美を抱き締めた、さっきと同様に、ジャケットに閉じ込めるように。
「あ、あの……っ」
声を上げて逃げようとした愛由美を、和希はしっかり抱き寄せる。
「こうした方があったかい。俺も愛由美も」
「さ、さっきから、思ってたんだけど」
「なに?」
「女の子、口説き慣れてるでしょ」
「さあ?」
「あんまり、こういう事はしない方がいいと思う」
「こういうこと?」
「抱き締めるとか、腕組もうとか、く、クリスマスのイルミネーション、見に行こう、とか」
「? そう?」
「ご、誤解、するよっ」
「誤解? どう誤解?」
「だからっ! く、口説かれてるのかな、とか!」
「そう思った?」
「思ってない! と思ってるから言ってるの!」
「ない?」
「私は8歳も年上だし!」
「あー……(実際には10歳な)」
「でも年の近い子とかにやったら、絶対誤解されるだろうから、やめた方がいいよ!」
「されてもいいけど。誤解」
「はっ!?」
「年なんか関係ないし。そんな童顔のくせに」
「き、気にしてるのに……っ! って、私とは……っ!」
「なんで? 駄目?」
「な、なんで、私……っ!」
「気になったから。でなきゃ昨日の今日で会いたいなんて思わない」
「う……っ」
愛由美は次の言葉を失った。
和希は突然腕に力を込め、愛由美毎移動し、近くのコンクリートの基礎に腰掛ける。
ちょこん、と和希の膝に座る形になった愛由美は焦ってもがく。
「そういうとこが……!」
膝の上に座われば、ちょうど頭の高さが同じくらいになった、和希は愛由美の耳元で笑う。
近くの横浜モアーズにあるスターバックスに寄ってみたが、満席で座れなかった。
和希はグランデサイズのカフェモカを購入する、勿論これは和希のお金だ。
店を出ると、ジーンズのポケットに手を入れたまま、
「ん」
肘で愛由美を突く。
「え?」
「腕、組もう」
「えええー……」
言いながらも愛由美は掌をその腕にかける。
(意外と素直なんだな)
和希は微笑んだ。
二人は連れ立って歩き出す。
西口から東口へ。
地下街に入ると、クリスマスの飾り付けが目立った。
「クリスマスかあ……」
愛由美が呟く。
「近くになったら、どっかイルミネーション、見に行く?」
和希は笑顔で聞いた。
「……」
愛由美は見上げたきり、言葉を発しない。
「なに?」
「……なんでも。考えとく」
愛由美は不服そうな表情で顔を背けた。
和希は気にはなったが、敢えて突っ込まなかった。
どうせ男慣れしてないからだろうくらいに思っていた。
横浜そごうの屋上に着いた。
「わあ……」
夜景を見た愛由美は歓声を上げる。
「初めて?」
和希は満足そうに聞いた。
「ビアガーデンに来たことあるけど、こんなに綺麗だなんて知らなかった!」
みなとみらい地区の夜景が、目の前に広がっていた。
「すごーい! 連れて来てくれてありがとう!」
素直な感想と、とびきりの笑顔を向けられて、和希は思わず視線を彷徨わせる。
その時一陣の風が吹いた。
薄着の二人には冷たい風が。
「ひゃあ」
愛由美は思わず首元を手で覆う。
和希は、背後から愛由美を抱き締めた、さっきと同様に、ジャケットに閉じ込めるように。
「あ、あの……っ」
声を上げて逃げようとした愛由美を、和希はしっかり抱き寄せる。
「こうした方があったかい。俺も愛由美も」
「さ、さっきから、思ってたんだけど」
「なに?」
「女の子、口説き慣れてるでしょ」
「さあ?」
「あんまり、こういう事はしない方がいいと思う」
「こういうこと?」
「抱き締めるとか、腕組もうとか、く、クリスマスのイルミネーション、見に行こう、とか」
「? そう?」
「ご、誤解、するよっ」
「誤解? どう誤解?」
「だからっ! く、口説かれてるのかな、とか!」
「そう思った?」
「思ってない! と思ってるから言ってるの!」
「ない?」
「私は8歳も年上だし!」
「あー……(実際には10歳な)」
「でも年の近い子とかにやったら、絶対誤解されるだろうから、やめた方がいいよ!」
「されてもいいけど。誤解」
「はっ!?」
「年なんか関係ないし。そんな童顔のくせに」
「き、気にしてるのに……っ! って、私とは……っ!」
「なんで? 駄目?」
「な、なんで、私……っ!」
「気になったから。でなきゃ昨日の今日で会いたいなんて思わない」
「う……っ」
愛由美は次の言葉を失った。
和希は突然腕に力を込め、愛由美毎移動し、近くのコンクリートの基礎に腰掛ける。
ちょこん、と和希の膝に座る形になった愛由美は焦ってもがく。
「そういうとこが……!」
膝の上に座われば、ちょうど頭の高さが同じくらいになった、和希は愛由美の耳元で笑う。