最強の暗黒龍は喪女にゾッコン ~VRMMOの裏ボスが子作り前提で求愛してきました~
「うえッ!? えーっと……注ぎに行くのが面倒くさいから、最初からカップと湯飲みの両方に注いでおいたんだよ。私ったら、横着しすぎだよね。テッヘヘ~」

 無意識に喋りが早口になってしまう。
 オタクは何かを熱く語ると、早口になってしまう悲しい性を背負った生き物なのだ。

「……」

 無言のまま、何を思ったのか、くるりと功一郎が踵を返しで廊下を戻っていく。
 待ってくれ、今そっちに行かれるのは困る。

「こ、功一郎殿! ど、どどどどどちらへ?」

「寝室。姉さんは子供の頃から、自分の部屋に物を隠す癖があるから」

「何だと!? なぜ、そのことを」

「何年、姉さんの弟していると思ってるの? 姉さんの行動パターンなんてお見通しだよ。会社だって、仮病で早退したんでしょ?」

 私の寝室のドアを開き、私の制止も聞かずにズカズカ中に入っていく。
 キャー、年頃の女の子の部屋に勝手に入るなんてサイテー! なんて、冗談が言える雰囲気じゃない。
 仮病もばれていたとは、私は完全攻略されているではないか。
 チラチラと部屋を確認する功一郎。

「また新しいゲームなんて買って……。いい年の大人なんだから、卒業しなよ」

「む、そ れ聞き捨てならんな! ゲームは子供のものでも、大人のものでもない。誰がいつやってもいい物なんだってば。お母さんと一字一句同じこと言いおって! お前は私のカーチャンかッ!!」

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