最強の暗黒龍は喪女にゾッコン ~VRMMOの裏ボスが子作り前提で求愛してきました~
「あ、そうだ。私、お茶入れてくる」
「そう言うのいいから。姉さんもそこに座って」
私が席を立とうとすれば、功一郎がテーブルをトントンと指先で叩く。「あ、はい」と大人しく席に戻る。
就活していた頃に体験した圧迫面接を思い出す。
しかしだ。今まさに、圧迫面接を受けようとしているにはエヴィエニスだ。
私は功一郎の隣に座っていて、テーブルの向こう側にはエヴィエニスが一人で座っている。
「で、この人は誰なの?」
「我妻となるヒナタの弟よ、良くぞ聞いた。我が名はエヴィエニス。煉獄の……うぐぅ!?」
死角になった椅子の下で、声高らかに自己紹介をするエヴィエニスの向こう脛を思い切り蹴飛ばした。
余計なことを言われると困るんだ。悪いが、しばらくの間黙っていてくれ。
悶絶するエヴィエニスを他所に、私が説明役を勤める。
「彼はエヴィ・エニスさん。どうも、アニメやゲームで日本語覚えたらしくてさ。たまに言葉遣いが変になるんだよー」
「で、エヴィ・エニスさんはどこの国の人? なんで、姉さんの所に……クローゼットの中なんかにいたの?」
「エヴィさんはその……キューバとかコロンビアとか、ベネズエラ方面から来たらしいよ。出身国はやたら長い横文字のマイナーな国名だから、私も忘れちゃったけど」
「僕は、彼に聞いているんだけど。で、姉さんとの関係は?」
「関係? えーっと、エヴィさんとの関係は……」