最強の暗黒龍は喪女にゾッコン ~VRMMOの裏ボスが子作り前提で求愛してきました~
ここに来て、言葉に詰まった。
彼はゲームの世界からやってきたドラゴンなんだよ……なんて、説明できない。
恋人なんて言っても、私を熟知している功一郎には嘘だとすぐバレる。
悪の組織に追われたスパイのエヴィさんを匿ってるとかはどうだ。
ダメだ、そんなの全然現実的じゃない。
こうしている間にも、功一郎の眉間の皺が益々深くなっていく。
なにか、なにか、なにか。なにか、もっともらしくて功一郎が納得しそうな嘘。
あ、そうだ。これなら行けるかもしれない。
私は持てる知識をフル回転させて、そして閃いた。
「エヴィさんは、海外からの技能実習生なんだよ!」
「技能実習生って、姉さんの会社にそんな制度あったっけ?」
ここまできたら、嘘で嘘を塗り固めてゴリ押しするのみ。
やるしかないんだ!
「つい最近、実験的に導入されたから、まだ一部の部署の人間しか知らないんだよ。エヴィさんは記念すべき、その第一号機能実習生で私はその面倒を任されたの!」
「それと姉さんの早退に何の関係が……」
「今日早退したのも、午前中に来たN○Kの受信料取立てがクローゼットに引き篭るレベルで怖いってエヴィさんから連絡があったからでね。本当に右も左も分からない可哀想な人なんだよ。とにかく! 危険な人じゃないから安心してくれて、一向に構わんよ!」
「3ヶ月の間、私が面倒見なきゃいけなくなったの。上からの命令だから、私に拒否権はない! 悲しいけど、この筋肉モリモリマッチョマンの中二病外国人と一つ屋根の下で暮らさなきゃ行けないの」
やったぜ、言い切ったぞ。
こんなにまくし立てて喋ったのは、英雄の一人から暗黒龍の弱点を聞き出した時以来だ。
これ以上勘ぐられたら、もう弁解のしようがない。
後は運を天に任せよう。