最強の暗黒龍は喪女にゾッコン ~VRMMOの裏ボスが子作り前提で求愛してきました~
「我は、一族を大切にする者が好きなのだ」
「す、……き?」
と、トドメの一言を放った。
こんな展開、乙女ゲー実況で見たことある。
そして、私はとんでもないものを見てしまった。
功一郎は勤めて鉄面皮でいるが、耳が真っ赤に染まっている。
嘘でしょ。あの功一郎が、照れている……だと?
「おいコラ、エヴィエニスさんよぉ。なに、人の弟を垂らし込んでんだよ」
「垂らし込む? ヒナタ、垂らし込むとはどう言う意味だ」
私達がやいのやいのと口論になると、コホンと咳払いをして功一郎が席を立った。
そのまま、何も言わず、逃げる様に早歩きで玄関に向かってしまったので、慌ててエヴィエニスとその後を追った。
「今日はもう帰るから。でも念のために、頻繁に様子は見に来るからね。ゲームばっかしてちゃ駄目だよ」
「分かったってば。気をつけて帰ってね」
「コーイチロー! いつでも好きな時に来るが良いぞ」
「だから、ここの家主は私だっての!」
エヴィエニスにえらく気に入られた私の弟。
珍しく拗ねた様な表情をしたかと思うと、すぐにそっぽを向いて、すでに半分開けていたドアから出て行ってしまった。
ポカンとした顔でドアを見ていたら、再びガチャッと開いて、功一郎が上半身だけ覗かせた。