最強の暗黒龍は喪女にゾッコン ~VRMMOの裏ボスが子作り前提で求愛してきました~

 同居するとなった以上、やることは山のようにある。
 一通り、部屋や電子機器の使い方を説明して回った。
 異世界からやってきたキャラが必ず通る登竜門だが、エヴィエニスの頭はスポンジのように吸収力が抜群で、物覚えが恐ろしく良かった。
 こちらが説明して、彼が2、3質問する。回答を聞くと頷いて、私が説明した通りに洗濯機も電子レンジもテレビも使いこなした。


 物覚えがいいと関心すれば、「本当は使うのを見るだけで覚えられるが、ヒナタと会話したいから質問している」と衝撃的な事実を暴露して、私をさらに驚かせた。
 かの有名な発明家ニコラ・テスラも持っていたと言う瞬間記憶能力『カメラ・アイ』。


 こいつ、天才か。
 あーでも、ゲームの裏ボスだし、これくらいは朝飯前か。


 何はともあれ、エヴィエニスは新たな知識を得られるし、私は余計な心配をせずに楽をできる――、まさにwinwinだ。

「ベッドは寝室のものしかないので、エヴィさんはしばらくここで寝てもらっても良いですか?」

「昨夜のように共に眠れば良かろう?」

 今朝の惨劇を嫌でも思い出させるその言葉に、私は顔を歪めた。

「馬鹿言ってんじゃないわ。気心知れない相手と同じ部屋で寝るなんて、猛獣の檻の中で眠るのと同じです」

「猛獣? どこに猛獣がいるのだ?」

「エヴィさんのことですよ。男は皆、オオカミ。エヴィさんも漏れなくオオカミです」

「我は、吠えて群れるだけが脳の獣ではない。誇り高きドラゴンだ」
< 122 / 146 >

この作品をシェア

pagetop