最強の暗黒龍は喪女にゾッコン ~VRMMOの裏ボスが子作り前提で求愛してきました~
同居するとなった以上、やることは山のようにある。
一通り、部屋や電子機器の使い方を説明して回った。
異世界からやってきたキャラが必ず通る登竜門だが、エヴィエニスの頭はスポンジのように吸収力が抜群で、物覚えが恐ろしく良かった。
こちらが説明して、彼が2、3質問する。回答を聞くと頷いて、私が説明した通りに洗濯機も電子レンジもテレビも使いこなした。
物覚えがいいと関心すれば、「本当は使うのを見るだけで覚えられるが、ヒナタと会話したいから質問している」と衝撃的な事実を暴露して、私をさらに驚かせた。
かの有名な発明家ニコラ・テスラも持っていたと言う瞬間記憶能力『カメラ・アイ』。
こいつ、天才か。
あーでも、ゲームの裏ボスだし、これくらいは朝飯前か。
何はともあれ、エヴィエニスは新たな知識を得られるし、私は余計な心配をせずに楽をできる――、まさにwinwinだ。
「ベッドは寝室のものしかないので、エヴィさんはしばらくここで寝てもらっても良いですか?」
「昨夜のように共に眠れば良かろう?」
今朝の惨劇を嫌でも思い出させるその言葉に、私は顔を歪めた。
「馬鹿言ってんじゃないわ。気心知れない相手と同じ部屋で寝るなんて、猛獣の檻の中で眠るのと同じです」
「猛獣? どこに猛獣がいるのだ?」
「エヴィさんのことですよ。男は皆、オオカミ。エヴィさんも漏れなくオオカミです」
「我は、吠えて群れるだけが脳の獣ではない。誇り高きドラゴンだ」