最強の暗黒龍は喪女にゾッコン ~VRMMOの裏ボスが子作り前提で求愛してきました~
第18話.隣近所にご挨拶
訪問マナーの1つに、訪問時刻は午前10時を過ぎてからとある。
現在の時刻は、午前10時7分――。
機は満ちた。
「呼び鈴を鳴らしたら打ち合わせ通り、演技スタートです。エヴィさん、準備はいいですか?」
「なぜ我がヒナタ以外の最弱種族に頭(こうべ)を垂れねばならんのだ」
「私の顔に泥塗った瞬間から、口利きません。即刻、家から追い出します」
「ふん。この我に出来ぬことなどないと、今ここで証明してやろう」
「うん、扱いやすくてホント助かるよ」
呼び鈴を鳴らして、しばらくしてからドアがゆっくりと開いた。
ドアの隙間から、可愛らしい幼女が目をまん丸にして私達を見上げている。
ちょっと予想外で、私は話しかけるのを躊躇した。
「こ、こんにちは。えーっと、楓ちゃんだっけ? お母さんはいるかな?」
腰を落として、なるべく優しい声で尋ねれば、不思議そうに私の顔とエヴィエニスの顔を交互に見た。それからすぐにモジモジと後ずさり、ドアを開けたまま、奥へと走っていった。
「おかーさーん。おとなりのおばさんと、がいこくじんのおにーさんがきたよー!」