最強の暗黒龍は喪女にゾッコン ~VRMMOの裏ボスが子作り前提で求愛してきました~
「あらやだ、私ったら勘違いしちゃったわ。ごめんなさいね、竜ヶ崎さん。えーっと、エヴィ・エニスさん? 何か困った事があったら何でも聞いてくださいね。ほら、楓もご挨拶して」
そう言って、すみれは自分の影に隠れていた楓の肩に手を触れた。
「……こん、にちは」
楓はエヴィエニスをチラッと見たが、蚊の泣くような小さな声で挨拶すると、またさっと隠れてしまった。
そんな楓ちゃんの反応を見て、「やっぱり、幼女は最高だな」なんて微笑んでいた私だが、ハッと我に返った。
功一郎以外に初めて会うこちらの世界の人間、それが杉浦親子だ。
突然、怒り出したら? さらにドラゴンの姿に戻って暴れだしたら?
私じゃ、エヴィエニスを止められない。今日が地球最後の日になってしまう。
内心ドキドキしながら、エヴィエニスをチラリと見上げた。
しかし、それらの心配はただの杞憂に終わってれた。
エヴィエニスは、どことなく穏やかに見える表情で杉浦親子を見下ろしている。
しかし、その顔色には「最弱種族が!」と言う侮蔑や怒りは雰囲気は一切なさそうだ。
特に小さな楓ちゃんに興味を示しているみたいだ。実は子供好きなのだろうか?
エヴィエニスの正体を知る私一人だけが、寿命が縮む思いをしたけど、挨拶で地球が終わらなくて本当に良かった。