最強の暗黒龍は喪女にゾッコン ~VRMMOの裏ボスが子作り前提で求愛してきました~
杉浦家への挨拶は無事に済んだが、反対隣は留守だった。
私自身、こっち隣の住人……確か、長谷川さんと言う男性だが、数回しか会ったことがない。
生態系がまるで謎な隣人なのだ。
夜勤の多い仕事か、在宅でできる仕事をしてるのだろうか?
まさか、マンション住まいで自宅警備(ニート)はないだろう。
帰宅早々、ソファにどっかりと座ったエヴィエニスは、何やら深刻な面持ちだった。
彼が暇さえあれば蔑む人間に、挨拶とは言え頭を下げたことがそんなに不満だったのか。
少しばかり叱ってやろうかと意気込めば、先にエヴィエニスが口を開いた。
「あのすみれと言う、最弱種族の女」
「ん? すみれさんがどうかしました?」
「夫はいないのか?」
「すみれさんはシングルマザーで、楓ちゃんと2人暮らしなんですよ。旦那さんとは離婚したのか、死別したのか……どっっちしても本人には聞けません」
「……そうか」
ああ、エヴィエニスも母子家庭だったから、見ていて感じるものがあったのかな。
重苦しい空気を緩和するためにも、ここは話題を変えよう。
「はいはーい。自分、ちょっと質問いいですかー?」
「ん、なんだ?」
「かの有名な七龍王って、ドラゴン同士で交流あったんですか?」