最強の暗黒龍は喪女にゾッコン ~VRMMOの裏ボスが子作り前提で求愛してきました~
「あ、すみま……」
振り返ると、
「あれぇ? 誰かと思ったら……根暗の竜ヶ崎さんじゃない? お久しぶりー、全然変わってないからすぐ分かっちゃったわー」
聞き覚えのある、懐かしくも嬉しくない、ワザとらしい甲高い声。
ああ……忘れてた。夢小説にはこう言うお決まりの展開もあったんだった。
「げぇ……このタイミングで、シンボルエンカウントするかぁ」
相手に聞こえないように毒づきつつも、作った笑みを顔全体に貼り付けた。
「お久しぶりですね、青木さん。まさか、こんな所で会うだなんて……」
「そうねぇ。会うのは高校以来だけど、あの竜ヶ崎さんのことだからー、引き篭もりにでもなってると思ってた。ほんと意外だわー」
嫌味ったらしく、かつ失礼極まりない態度で喋るこの女性は、青木と言って、私の高校時代の同級生だ。
高校時代もぼっちだった私を執拗に虐めていた女子グループの副リーダーだった。
つまり、私達の関係は蛇と蛙。猫と鼠。虐めっ子と虐められっ子だ。
ここで再会しても、全く嬉しくない。心の中のコマンド『逃げる』を絶賛連打中だ。
こうなったのも、全部エヴィエニスのせいだ。私は悪くねぇ!
「えーっと……」
「昔と全然変わんないわね。いるだけで目障りだし、ほんとムカつく。アンタみたいなダサいヤツが、こう言う所で買い物してて恥ずかしくないわけ? 正直、周りの人の迷惑なのよ」
「……」