最強の暗黒龍は喪女にゾッコン ~VRMMOの裏ボスが子作り前提で求愛してきました~

 うへー、いじめっ子にありがちなテンプレな台詞乙。
 青木の本質は、今も昔も変わっていなかった。私を虐めていた彼女のままだ。
 これだけ言いたい放題言われて、私だって頭にきていないわけが無い。
 でも虐めっ子に反論しても、なんの意味も無い。
 虐め行為を増長させるだけ。ここはただ黙って耐えるのが得策だ。


 黙っているのには、もう1つ理由がある。
 昔を思い出して、体が竦んでいる。虐め後遺症と言うヤツだ。
 今夜は、久しぶりに最悪、最低の悪夢を見る羽目になりそうだ。


 耐えよう――。
 キュッと口を硬く閉じて、目を伏せた。
 そうすれば、言うだけ言って、満足して、帰ってくれる。

「おい、貴様。ヒナタが呆れているではないか。その目は飾りか?」

 一瞬、何が起きたのか分からなかった。
 大きな掌が私の肩を抱いた感触で、やっと現状を把握した。

「はあ!? な……なによ、アンタ?」

 店のロゴが入った大きな紙袋を持ったエヴィエニスが、私の肩を抱いて、自分の方に引き寄せた。
 私はその行為の意味が分からなくて、彼を見上げた。
 いきなり現れたエヴィエニスに、青木が食って掛かった。

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