最強の暗黒龍は喪女にゾッコン ~VRMMOの裏ボスが子作り前提で求愛してきました~
「なんでこんな奇行に走ったのか、理由を聞いても?」
「テレビで見たのだ。番で水浴びをするのは、フーフミズイラズと言うお互いの関係を密にする行為だと」
「あー、なるほど。でも、私達は夫婦ではないので、一緒には入れないんですよ」
「駄目なのか?」
「駄目です。駄目以外の何物でもないです」
またテレビで余計な知識を得たのか。
見せる番組もしばらく制限したほうがいいのかもしれない。
例えば、教育テレビオンリーとか。あのチャンネルは、小・中校生向けに作られた番組が多く放送されている。基本的な知識を養うにはもってこいだ。
「それにしても」
「な、なんですか? 人のことジロジロ見て」
立っている私を見ながら、エヴィエニスは首を30度ほど傾けた。
そして、目線の高さまで上げた両手で私の体のラインを何度も何度も宙でなぞるジェスチャーを繰り返している。
無言のまま、1度なぞる毎に「うーむ」と不満そうに唸る。
おい、その手の動きは何だ。
「その旅番組なるもので見たのだが、他の雌の裸はもっとこう……」
「よっしゃ、今すぐ表出ろ」
私は油断していた。
この瞬間から状況が一変する。「お、空気変わったな」どころじゃない。
こんな私でも苦手なものがある。皆が嫌いな物は、この喪女でオタクの私でも嫌いだ。