最強の暗黒龍は喪女にゾッコン ~VRMMOの裏ボスが子作り前提で求愛してきました~

 それから1時間もしないうちに、窓の方から、ガタガタと大きな音がした。
 あまりにも騒々しい物音に、再び意識が覚醒する。
 薄目を開けた瞬間、仰向けになっている私の上に黒い影が落下してきた。

「ぶう゛ッ!?」

 乙女とは思えない呻き声を、喉の奥から搾り出してしまった。
 落ちてきた物体は、胃の上辺りで、うねりながら自発的にバウンドしている。
 

 なんだコレ? ほんと、なんだコレ!?
 もう何が起きているのか、理解が追いつかない。
 私はベッドの上で手足をバタつかせて必死にもがいた。
 その結果、ベッドから転がり落ちてしまったが、跳ね続ける謎の物体から逃げる事ができた。

「さ、魚? なんで魚? しかもこれ、鯉? え、なんで鯉!?」

 全長1m以上はあろうかと言う白に赤ブチ――、立派な錦鯉がベッドの上で元気良く跳ねていた。
 もちろん、私のペットではない。
 仮にペットだったとしても、魚を水槽から出して一緒に寝るなんて奇行はしない。

「まさか」
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