最強の暗黒龍は喪女にゾッコン ～VRMMOの裏ボスが子作り前提で求愛してきました～

「それから、その鯉は可哀想なので、元の場所に逃がしてきてください」

「なぜだ？　我の獲った獲物では、貴様の腹は満たされんと言うのか！？」

　えー、信じらんねぇ！　って顔されてもなぁ。
　生きている鯉を食べるほど、野性味溢れる食生活を私は送っていない。

「食べませんから！　元いた場所に返して来てください。後生ですから、今すぐにッ」

「妻の頼みであっても、それは聞けん。ドラゴンの教えに、糧を粗末にするは……」

「なら、お気持ちだけ頂いて、私が戻してきます。エヴィエニスさんは、ここにいてください。いいですか？　絶対に、この部屋から出ないでくださいね！」

　口酸っぱく言い聞かせて、瀕死状態の鯉を水と一緒にゴミ袋に入れる。
　早くしないと鯉が死んでしまう。焦る私を他所に、これの袋がまた、とてつもなく重い。
　引きずったら袋に穴が開いていしまうから、抱えていくしかない。
　なんで、月曜日の早朝から、こんな重労働をしなきゃならないんだ！