最強の暗黒龍は喪女にゾッコン ~VRMMOの裏ボスが子作り前提で求愛してきました~
「そもそも……なんで、人の姿してるんだろう? 今流行の擬人化?」
ゲーム内にそんな設定があっただろうかと、社畜で満杯の電車の中で1人悶々と考え続けた。
「そうだ! 悩んでる場合じゃねえ、ソシャゲの期間限定イベ走らなきゃじゃん!」
ポケットからスマホを取り出し、イヤホンを耳に付けた。
こんな緊急事態でも私はゲームをしなければ、生きられない運命になる。
ゲーオタとは、悲しき性を背負った生き物なのだ。
「ガチャピックアップ中だけど、課金どうしようかな? 今月イベント重なってて、キツいんだよね……いや、しかしだな」
スマホ画面と睨めっこをしながら、自問自答を繰り返し、物欲と戦う。
現実に現れたドラゴンより、小さな画面の向こう側のデータが今の私には大切なのだ。
他の事は考えず、ゲームに没頭する。
理由は簡単。私にとって、こうしている時が一番幸せだからだ。