最強の暗黒龍は喪女にゾッコン ~VRMMOの裏ボスが子作り前提で求愛してきました~
第6話.私の名は。
般若顔――そして、仁王立ちの私。
玄関の冷たく、硬いタイルに尻をつくシーツ一枚の変態。
だんだん、この状況が『浮気現場を仕事帰りの妻に目撃され、必死に弁解してる男の図』に見えてきた。
まぁ、実際は『強姦をワンパンで未遂に防いだオタ女と殴られたマッチョの図』なんだけどね。
「な、何をする!」
まだ顎に赤い痕がくっきり残るエヴィエニスが、批難の声を浴びせてくる。
「それはこっちの台詞じゃい! い、いいいいきなり何すんのよ!」
「これは、我らドラゴンの最上級の愛情表現だぞ! 巣に戻った妻を労わって、何が悪い」
「妻じゃねーから。何回も言わせんな! 知るか、そんなん。私の肩の肉を食い千切る気!? あーもう、クッソ痛いんですけど」
噛まれた首筋を抑えて、盛大に舌打ちする。痛みを伴う愛情表現なんて、冗談じゃない。
私はそんなドMじゃない、性癖は限りなくノーマルだ。
沸き上がる怒りに身を任せ、満を持してのスーパー罵倒タイムが始まる。