最強の暗黒龍は喪女にゾッコン ~VRMMOの裏ボスが子作り前提で求愛してきました~

「貴方が何者で、何処から来て、本当の目的がなんなのか。これからじっくり尋問させてもらいます。応え次第では、警察に通報しますから。でもその前に……」

「はい、これ着てください」

 拾い上げた3つの袋を、エヴィエニスの分厚い胸板に押し付けた。
 パッと手を離せば、それらはエヴィエニスの腕の中に納まる。

「なんだ、これは?」

「言ったでしょ、目のやり場に困るって。私が身を粉にして働いて、ソシャゲへの課金と生活費のためにコツコツ貯めたお金で、わざわざ! 貴方のために! 買ってきた服一式です」

「わ、我のために……貴様が?」

「あのさ! 私を貴様、貴様って呼ぶの止めてくれません? 私には、竜ヶ崎日向って名前があるんです。りゅ・う・が・さ・き・ひ・な・た! オーケー?」

 以後、名前で呼ぶように念を押せば、エヴィエニスは目を丸くして呆けている。
 そんなに驚くことか? 
 最弱種族になって、名前くらいあんだよ。文句あっか?
 某忍者漫画の登場人物と同じ名前だから、小学生の頃はクラスの男子共に「いえーい、日向は木の葉にて最強―!」とか「おい、龍ヶ崎―! 八卦六十四掌やれよー」とか、名前ネタで散々弄られた。
 だから、この名前にはあまり愛着がないと言うか、別の名前の方が良かったと何度も思ったものだ。
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