最強の暗黒龍は喪女にゾッコン ~VRMMOの裏ボスが子作り前提で求愛してきました~
「なんでもないです。では、そちらに座ってください」
コホンと咳払いをして、私の向かい側の椅子に座るよう促す。
4人がけのテーブルの上には、スタンドライト、ノートPC、フライ返しを準備した。
エヴィエニスが席につくと、私が入れ替わりで立ち上がり、部屋の電気を消す。
カーテンの閉まった室内は、日中とは思えないほど薄暗くなった。
エヴィエニスの褐色の肌と黒髪が保護色と化していて、背景の一部になっている。
こいつ、同化(・・)してるぜ! って喧しいわ……。
暗闇の中、手探りで自分の席に戻ると、スタンドライトのスイッチ入れた。
「部屋の明かりを落とす意味はあるのか?」
「あくまで、ムード作りです」
「ムード?」
「形から入る人間なものでしてね。特に意味はないので、気にしないでください」
会話しつつも、カタカタとPCのキーを打つ。
タイトルを『変質者への事情聴取記録』とメモに打ち込むと、クイッと眼鏡を指で押し上げた。
「さてエヴィエニスさん、これから貴方にいくつか質問します。その全てに、正直に答えてください。嘘偽りがあった場合。そして質問内容に腹を立て、私に危害を加えた場合、即刻警察に通報します」
「そのケイサツ、とは何だ?」
「それ、マジで聞いてるんですか? 警察って言うのは……あー、王都の治安維持を任された騎士団です」