最強の暗黒龍は喪女にゾッコン ~VRMMOの裏ボスが子作り前提で求愛してきました~
人ならざる者、人を外れた者。それすなわち――人外。
エヴィエニスは、その言葉そのものを意味する存在になった。
いや、もともとその存在だった。私が信じていなかっただけで……。
こんなものを見せられたら、認めざるを得ないじゃないか。
昨夜から現在に至るまでの自分の軽率な行動、言動、その両方を呪った。
彼は本当に――煉獄の暗黒龍だった。
『これが、今の我の限界だ。このまま元の姿に戻ってしまえば、生命維持に必要な分の魔力まで使ってしまう』
この声は、聞いた事のある声だ。
これは、ゲーム内で聞いた声。昨夜、私の前に現れた暗黒龍の声。
雑音の混じった聞き取り辛い、皺枯れた声音。
人外が、無理やり発する人の言語。
「あ、ああ……あわ、わわ」
『どうだ、ヒナタ。煉獄の暗黒龍である証明にはなったか?』