最強の暗黒龍は喪女にゾッコン ~VRMMOの裏ボスが子作り前提で求愛してきました~
ドンと椅子に座り、スタンドライトを元の位置に置き直す。
私の心境の変化について来れなかった棒立ちのエヴィエニスに、「どうぞ」と席に座るよう勧めた。
さあ、再開しよう。尋問は始まったばかりなのだから。
「その前に、人の姿に戻ってもらっても?」
『我もそれを提言しようとしていた』
変なところで以心伝心してしまった。
ぜんっぜん、嬉しくねえけどな。
「む、我としたことが!」
椅子に腰を下ろした途端、エヴィエニスが叫んだ。
全身がビクッと震え、膝がテーブルに当たってガタンと音を立てた。
「いきなり、大きな声出さないでくださいよ! どうしたんですか?」
「変身を解かずとも、この額の傷を見せれば良かったのではないか……と、思ってな」
そう言って、エヴィエニスは長い前髪を掻き上げた。
そこには、それはそれは大きな傷跡があった。
見た目は、稲妻がバッテンにクロスしたみたいな形だ。