最強の暗黒龍は喪女にゾッコン ~VRMMOの裏ボスが子作り前提で求愛してきました~
「あー、これ。夢小説で読んだことあるシチュエーションだ」
私は机に突っ伏して、うぐぐ……と唸る。「あ、これ○○ゼミでやったところだ!」みたいなニュアンスで言っているが、そこに喜びはない。
ハマっていた頃は、お気に入りのサイト様を朝まで巡回して読み漁ってたな。
主人公の名前を『ヒナタ』にして、推しキャラとのラブラブ日常生活を夢見たものだ。
ああ、あの頃は若かった。
「ゆめしょうせつ、とはなんだ?」
「独り言なので、お気になさらず」
竜人の姿から、人に戻ったエヴィニエスが不思議そうに私を見つめる。
私をヒラヒラと手を振って、適当に茶を濁す。
彼氏無し、異性の友人無しで27年間生きてきたが、目の前に自ら「彼氏になりたい」と立候補してきたエキゾチックなイケメンがいる。
人間じゃないけど……人間だったとしても、噛み付いたり、舐めたりする、鯉を盗んでくるようなマッチョ奇人とはお付き合いしたくない。