最強の暗黒龍は喪女にゾッコン ~VRMMOの裏ボスが子作り前提で求愛してきました~
第10話.腹が減ってはなんとやらってね
二次元の住人が現実世界に出てきて、一目惚れから婚約の流れで迫ってくる。
なんで出てきちゃったのかは、ご本人にも覚えがないときている。
そんなファンタジーやメルヘンみたいなこと……あったんだよ花京院。
「そもそも最弱種族の常識など……」
1人、ペラペラと饒舌に話を続けようとするエヴィエニス。
だが、ここで私には1つ引っ掛かることがあった。
これが結構、重要なことなのだ。話が切り辛くなる前に聞くべきだなと即座に判断した。
「お話中、申し訳ないんだけど。エヴィさん、1つ質問してもよろしい?」
「どうした?」
「もしかしてなんだけど。私が気絶してる時に、私の頭撫でました?」
「ああ、撫でた。その後、ヒナタの隣で我も眠った」
「嘘だろ? 添い寝までしてたのかよ。どうして、撫でようと思ったんだよ!」
予感はしていたけど、あまりにもドンピシャ過ぎて、形振り構わず頭を掻き毟る。
頭、掻き毟らずにはいられない!
例えイケメンに添い寝されていたとしてもだな。
初対面で、しかも好みのタイプでもなんでもない男が、息がかかる距離にいた事実。
精神への拷問だ。真綿で首をじわじわ首を絞められている感覚しかしない。