最強の暗黒龍は喪女にゾッコン ~VRMMOの裏ボスが子作り前提で求愛してきました~
スマホのキッチンタイマーを5分にセットして、スタートする。
最近のカップ麺は、3分じゃ出来上がらないの多い。
絶望的な空腹時に5分も待つのは辛いものだ。
今日がその時でなくて、本当に良かったと思う。
「さて、テーブルに運んで、出来上がるのを待ちましょう」
「待て、ヒナタ。その食料は、我が運ぼう」
「え? ああ、そうですか。じゃぁ、お願いします」
そう言って、ヒョイとカップ麺の容器を両手に1つずつ持った。
沸騰した湯を注いだ容器を直接、素手で……。
「おおおお、直で持って熱くないんですか!? お盆、ありますよ?」
慌てふためきながら、棚に入れておいたお盆を出すが、エヴィエニスは頑として載せようとしない。
七龍王の称号がある手前、やせ我慢してるんじゃないの?
動揺が隠し切れていない私はエヴィエニスの手とお盆に視線を行ったり、来たりさせる。
私を見下すエヴィエニスは、フンッと鼻を鳴らした。
「忘れたか? 我は火を操る龍だぞ。こんな物は、我にとって真水を触っているのと変わらん」
「恐るべし、暗黒龍の火耐性」
感嘆を漏らしつつ、私はマグカップと湯飲みをお盆に載せてテーブルに向かった。