最強の暗黒龍は喪女にゾッコン ~VRMMOの裏ボスが子作り前提で求愛してきました~

「我は一族の掟に従い、強き者との間に子を儲け、最強の血族を後世に残さなければならぬ」

「はあー、ドラゴン界の繁殖事情も大変なんですね……じゃ、ない! その掟と私達がツガイになることに、なんの関係があるんです?」

「我を倒した雌こそ、我が求める強き者。その者と番になれば良い。つまり、ヒナタこそ、我のツガイ……最弱種族共が言うところの妻に相応しい」

「とんでもねぇ筋肉理論だな。 てか、人間とドラゴンって、子作り可能なんですか!?」

「できる」

「即答! して、その根拠は?」

「我の父上も、最弱種族……人間だったからだ」

「……は?」

 驚愕の事実に、口に入れようとしたはるさめがカップにボチャリと落ちた。
 行儀は悪いし、汁が撥ねて汚いけど、それを気にする余裕もないほど、衝撃的だったんだ。

「我の父上もまた、冒険者であり、母をたった一人で倒した兵だった」

 エヴィエニス本人が、その生い立ちを静かに語り始めた。

「おお、エヴィさんのパパ上すげぇな」

「母はその場で父上に求愛し、父上はそれを受けれ、二人は晴れてツガイとなった」

「ちょ、急展開過ぎるだろ。ドラゴンと結婚とか……うーむ、エヴィさんのパパ上は、ケモナーかな?」

 怒涛の展開に、椅子からズコッと滑り落ちそうになった。
 私なら、「返事は明日にでも」とか「両親と相談させて」とか適当に理由をつけて、その場から逃げるけどな。
 さすが兵は度量が違う。
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