最強の暗黒龍は喪女にゾッコン ～VRMMOの裏ボスが子作り前提で求愛してきました～

「ドラゴンと人間のハーフって割には、人間についての基礎知識があんまりないんですね」

「父上とは、短い時間しか共にいられなかったからな。幼かった我は、父上のことはおぼろげにしか覚えておらん。我は一人立ちまで、母上に育てられたのだ」

「ああ……」

　ドラゴンと人では寿命の差が歴然としている。
　人間は頑張って１００年ちょっとだが、ドラゴンは設定上では１０００年は余裕で生きられる。
　淡々と語るエヴィエニスの表情が、少し哀しげに見えたのは視力の悪い私の錯覚なのか。
　箸を置き、はるさめヌードルをそっと隅に避ける。

「何となく暗黒龍の掟は理解できました。でもエヴィエニスさん、本当に私でいいんですか？　私、美人でもなければ、スタイルも全く良くないですし、人見知りで、社会の勝ち組でもない三十路のゲーオタ女ですよ？　そして、それ以前に、結婚願望がないと付け足しておきます」