最強の暗黒龍は喪女にゾッコン ~VRMMOの裏ボスが子作り前提で求愛してきました~
「強い子孫を残すことこそが重要ではないのか? 最弱種族の考えることは、さっぱり分からん」
「ドラゴンはそうでも、人間は違うんです。どうして、エヴィパパさんは雌ドラゴンと愛のない結婚なんてできたんだ? とにかく、ここは人間が支配する世界なんですから、私とツガイになりたいなら、エヴィさんも人間の常識を学んでください」
「あい……愛か。我はまず、愛が何たるかを理解せねばならぬのか」
「そう言うことです。ダラダラやったからって結果が出るわけではないので、期限を決めますよ。そうだな……3ヶ月と定めましょう。3ヶ月で私がエヴィさんに惚れて、告白してしまったら、晴れて私達はツガイです!」
「なるほど、面白い。その条件、呑もうではないか!」
こうして、『龍殺し』の異名を持つ私は、暗黒龍との交渉に成功した。
愛を知らないドラゴンが一方的に不利になる条件だ。
しめしめ。これは私が今さっき思いついて、仕組んだ出来レース。
私は何がなんでも、ゲーム三昧の一人身を貫くぞ。
「さてと」
茶を飲み干して、湯飲みを置いた。
椅子から立って、歩き出す。私の突然の行動に、エヴィエニスはポカンとしたまま、椅子に座っている。しかし、その顔と目は私の背を追っていた。
私が向かう先は無論――、玄関だ。
それから、満面の笑みで振り返り、玄関を指差して、