最強の暗黒龍は喪女にゾッコン ~VRMMOの裏ボスが子作り前提で求愛してきました~
「両者、納得のいく条件で話も済みました。とっとと、私の家から出て行ってください」
と、エヴィエニスに告げた。
私とエヴィエニスの間に、束の間の静寂が流れた。
「なんだと!? 我とヒナタは、ここで共に暮らすのではないのか?」
驚愕に震えるエヴィエニスが吠えた。
ラブコメみたいに同棲できるとでも思ったか、馬鹿め!
世の中、そんなに甘くないんだよ!
ドラゴンだろうが、ゲームのキャラだろうが、関係ない。
私にエヴィエニスを養う義務も、金銭的な余裕もない。
出て行っていただくのは、もはや自然の摂理と言っても過言ではない。
「一つ屋根の下で暮らすなんて、私は一言も言ってませんから」
「……下手に出ていれば、調子に乗りおって」
耳元にかかる息とドスの効いた声。一瞬、視界の端で真っ黒な影が動いた気がした。
かと思えば、私は瞬きするより早く、エヴィエニスによって壁に縫い付けられていた。
人の姿を成していも、ドラゴンの瞬発力は健在らしい。