最強の暗黒龍は喪女にゾッコン ~VRMMOの裏ボスが子作り前提で求愛してきました~
2本目の指も折る。
エヴィエニスの表情が曇る。
「そして、その3! いつ、いかなるときも女性に優しい。乱暴は論外。以上です!」
3本全ての指を折った私の拳を見て、ぐうの音も出なかろう。
今のエヴィエニスは、3つの条件のどれも満たせていない。
「つまり、ヒナタは今の我では不満だと?」
「ええ。私が食べられない餌を運んでくるだけしか能がない。人外な旦那様はいりませんね」
「くッ! ……」
それ以上、言葉が続かないエヴィエニス。
その大きな手の平から徐々に力が抜けて、壁に押し付けていた私を解放した。
暗黒龍が再び、私の目の前で屈した瞬間である。
今回も龍殺しのソレイユが勝ったな。煉獄の暗黒龍、恐れるに足らず!
すると、タイミングを見計らったように、ポケットに入れていたスマホが震えた。
エヴィエニスは落ち着きを取り戻しつつあって、小康状態だ。
それでも私は彼を睨んだまま、スマホを手に取って画面をチラッと確認する。