最強の暗黒龍は喪女にゾッコン ~VRMMOの裏ボスが子作り前提で求愛してきました~
画面に触れれば、1件のメールが表示された。
文面に目を通す間もなく、私は激しい眩暈を覚えた。
「ヒナタ、どうした?」
様子がおかしい私を見て、エヴィエニスの態度が一転。
慌てる彼を力なく上げた手で制止する。
大丈夫だよ、エヴィさん。私は現代社会を一般ピーポー。
手の平を翳したからって魔法とか、衝撃波の類は出ないので、そんな大袈裟に身構えないで欲しい。
「エヴィさん、こんなベタなラブコメしてる場合じゃなくなりました。危機が迫ってます」
「どうした、ヒナタ。まさか……敵か? モンスターか?それとも冒険者か?」
「敵……そんなより、もっとヤバいヤツがここに来ます。隊長ッ! 第一波到達まで、あと2分もないです!」
「落ち着け。何を言っているのか、まるでワケが分からんのだが?」
無意識に声が震えた。
中二病でも拗らせた若者然と片手で顔を抑える私。
この行動に特出した意味はない。
事の重大さがエヴィエニスに伝わればいいな……程度である。
表情を強張らせる私と視線を合わせたエヴィエニスが眉を顰める。
最悪に最悪が重なっていく。今こそ本当に気絶したくなった。