月がみていて
今から6年前…

「おにいちゃん、おかえり!! 」

暴走族の朝帰り。

当時3才の美里は必ず、俺の膝に座りたいとせがんだ。

「!! 」

美里の体にはいつも

(タバコの火を擦り付けた跡)や、

(暴力によっての青あざ)が

服の下に、隠されていた。


「くそばばぁ! こら、ブタ!!」

「おにいちゃん、みさとが

(階段)からおっこちたん。」

(最低の家庭環境)

それなのに、いつも美里は笑っていて、

母親から暴力を受けたなどと、

ひとことだって発しない。

「みさとが、こけてん。」

小さなココロで、不出来な母親を庇った。

< 118 / 233 >

この作品をシェア

pagetop