月がみていて
それから、どの位経ったのか…

ふすまが中から開くと、せいぜい20代で若く、アタシよりスタイルのよい(化粧くさい女)が…

いかにもサッパリとした(得意げな表情)を浮かべ、

「ハジメサン、バイバイネ。」

カタコトの日本語、プラス、品のない派手な(ワンピース)…。

裾をひらひらさせながら、アタシの前を通り、

玄関でピンヒールを履くと、

コツコツと靴音だけを、静かな玄関に余韻を残し、帰って行った。

―そう、まるで何もなかったように…。

一方、廊下で座り込む(中学生のアタシ)は、刺激が強かった。

―ショック!

立ち上がる気力もないまま、

その帰って行った(女)のことや、改めて知った(父の男)としての一面に、アタシは凍りついてしまったまま…。

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