月がみていて

<トワの涙とサイレンの二重奏>

[トワの涙]


トワは、声を殺し、小刻みに震えていた。

「望! 逝くな! 俺をおいて逝くな!! 」


―望みのカラダが冷えていく。

顔面蒼白、唇の色は紫色っぽく…。


そう叫び、立ち上がる(トワ)

「お前の子供やろう? 

そんなに望が うっとしいかぁ? 」
 

「うぅー。」

はじめは泣き続け、

玄関の隅っこで震え上がっては、

何かに怯えるようだった。
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