月がみていて
[サイレンの二重奏]

それから、サイレンがたなびいた。

―アタシはトワに抱きかかえられたまま、

担架に移され、寝転んだ
 

そして、父(立花はじめ)は、

脱力した体をひきずるように、

両腕を警官に捕らえられた。

後ろではめられた手錠・・・。

それは想像以上に、とても冷たい。

そして、パトカーのサイレンの音が、

最後の時を迎えたと、そう告げた。
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