月がみていて

<昏睡状態>

[昏睡状態]

―アタシはただ眠っていた・・・。


「ただいま。」―母の声が聞こえる。

「おねぇちゃん、おみやげヤデェ! 」

―弟(健人)のかわいらしい声。

「おかえり!! 」―10才のアタシがそこにいる。

夏の日差しが台所の窓から入ると、

ノースリーブのワンピース姿の母が

いつもより綺麗だった。

不思議なことに、(夏の夕日)だというのにまったく暑さを感じない。

‥長い夢を見ていた。
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