月がみていて
診察が終わると、医師はトワを呼ぼうと、ドアを開けた。

「トワ! お前、その歳で、女子を泣かせる気か? 」

「オッチャン、何言うてるん? 今泣かしたトコ、見てたけど!? 」

アタシは眉毛の上3センチをその場でせっせと縫合された。

「痛いか? 我慢強いな。」

アタシはコクリと頷くと

「昔、麻酔の時点で叫んだ少年がおって…

もう、うるさいの、なんのって・・・。」

「もしかして(ソレ)が言いたくて、呼んだって?」

アタシの目はトワを見た。

「…悪いかぁ? 」

トワは医者に怒りつつ、恥ずかしそうにアタシを見た。


「あれ、覚えてた? それに比べて、君、幾つ?

“雲泥の差”って、まさにこの事やね! 」

― 鬼の首を取ったみたいに、医師は笑うと、

トワは悔しがりながら苦笑した。

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