月がみていて
―(赤信号)

ゆっくりとすべるように停車した。

ブレーキのかけ方、ひとつで、

トワが本質的にやさしい人だということを、

確かめていた。


「リストカット、する? 」


「腕、切っていくヤツ? 興味ないかも…。」


実はいかにも悪そうな、

苦手なタイプのこの人の助手席にいる

普通に考えて、その時のアタシは不思議だった…。

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