月がみていて
「俺が若い頃、トワよりもっとイケメンやった」

山岸医師は相変わらずだ。

(抜糸の日)

処置室から出た・アタシ。

受付の前の長イスに座り

財布を握り締めていた。

そんな時―

静かなこの病院に
バイク音。

山岸医師が

「あれは、トワやなぁ。」

とアタシの方へ。

狭い病院のドアが開くと、

アタシを見つけてすぐに

「抜糸、終わった? 」と・・・。

「ブッ! 」

思わず噴出し笑いした。

「山岸先生、お世話になりました。」

トワは頭を下げると、

「何やネン、気色悪い! 

傷口きれいにくっいた。まぁ、先生に任せなさい。」

医者は、胸を叩いた。


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