ふたりの関係には嘘がある~俺様エリートとの偽装恋愛は溺愛の始まり~
「なぁ」
実松くんの低く甘い声と、目を細めて私を見つめる艶っぽい瞳に捕らえられてら急激に鼓動が速まる。
呼吸も浅くなる。
苦しくて視線を逸らそうとした時、実松くんは少し乱暴に私の体を引き寄せた。
「俺、そいつに勝てる?」
耳元で囁いた声は、喉の奥から絞り出したように苦しげで、思わず手を実松くんの背中に回した。
「実松くんと志摩くんは別モノだよ」
そう答えると、実松くんは体を離し、言葉の真意を確かめるかのように私の顔を覗き込んだ。
「志摩くんは過去の人。実松くんは未来の人だもの」
はっきりと目を見て答えれば、実松くんの表情は幾ばくか、和らいだ。
「それって結婚してもいいって話?」
「結婚って、前にも言ってたよね?もしかして焦ってる?」
逆に質問すると、実松くんは気持ちを正直に吐露した。