ふたりの関係には嘘がある~俺様エリートとの偽装恋愛は溺愛の始まり~
「社交辞令並べてまで集客したいのかな?」
実松くんに真面目に聞くと、ハハッと笑われた。
「恭子は自己評価低すぎ。言っただろ。綺麗だって。俺の言うこと、信じられない?」
「それは…信じる。ありがとう」
それしか言えることがなくて、照れて俯く。
そんな私の顔を実松くんは覗き込んで言った。
「俺、今日のこと、記念に残したい。だから写真撮ってもらえるよう、カメラマンに頼んでくるよ。あとで中村にも自慢しないといけないし」
ニヤリと笑った実松くんを見て、つられて微笑む。
「あ、その笑顔はダメだ。俺の前以外で見せたらお仕置きだからな」
口元に指を当てられ、ドキッとする。
でも人前だ。
指を避け、口を結ぶ。
「これでいい?」
「よし。いい子だ。じゃあ待ってろよ」
言われなくても慣れないドレスは歩きにくくて、実松くんが支えてくれないと動きにくい。
他のカップルが撮影している様子を遠巻きに見ながら実松くんの戻りを待つ。
そんな私の元へ志摩くんがやってきた。