恋を忘れた君に
休日の昼下がり。
ちょっとおしゃれなカフェで友人とお茶。
なんて優雅な休日なんだろう。

「―め。・・・ゆめ!」

彼女の呼ぶ声で意識が戻った。

「ご、ごめん。何だっけ?」
「ちょっと。ちゃんと聞いてよね・・・でね―・・・。」

最近ぼーっとしてしまうことが多い。
こうやって彼女に突っ込まれることもしょっちゅうだ。

彼女は高校時代からの親友 ななせ。
ななせには素敵な彼氏が居る。
未だ付き合って間もないが、付き合うまでの過程も見守ってきた。
彼は本当にいい人だと思う。

私はななせから彼の話を聞くのがすごく好きだ。
こんな言い方をすると、私が彼のことを気に入っているように聞こえるかもしれないけど、そういう訳ではなくて。
勿論、人としては気に入っているけれど。
私は二人の幸せな話を聞いているだけで、自分も幸せになれるのだ。

なのに彼女はあまり話したがらない。
彼女曰く、恥ずかしいらしい。
付き合って間もないカップルなんて惚気たくて仕方がないものなんじゃないかと思っていたのに。
どうやら私の偏見だったようだ。

と言うよりも、あまりに自分に経験がなさ過ぎて分からないだけかもしれない。
何せ私には今まで彼氏は一人しか出来た事が無い。
それも6年も前の話。
6年前なんて高校生。
どうんな気持ちで恋をしていたのか、全く思い出せないのだ。
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