恋を忘れた君に
数回ななせとやり取りをしていると、急激な眠気に襲われた。
きっと、先ほど飲んだ薬が効いてきたのだろう。
ななせとの連絡を一旦絶つのを惜しみながら、眠気には抗えず、瞼を閉じた。
――どのくらい眠ってしまっていたんだろう。
眠る前、空は明るかった気がするけど、今は薄暗い。
スマホを見ると、大量の通知。
そのほとんどがななせからだった。
その中に見慣れない名前。
>れ 不在着信
【れ】というのは沢渡さんのこと。
何故沢渡さんから着信がくるのか。
取り合えず、びくびくしながらも掛け直してみることにした。
3コールで出なかったら、切ろう。
プルルル・・・プルルル・・・プルルル・・・
よし、切った。
もしかするとまだ仕事なのかもしれない。
ほっと胸を撫でおろし、枕元にスマホを投げ、天井を仰ぎ見た。
すると、スマホがすぐ震えだした。
画面を見ると、 れ からの着信。
こんなにすぐ折り返されるとは考えていなかった。
ふう、と呼吸と整え、受話器ボタンを押す。
「も、もしもし・・・?」
『あ、夢ちゃん?良かった~、生きてた。』
「え、と、生きてたって、そりゃあ生きてますけど・・・どうかしたんですか?」
『ななせちゃんが、夢ちゃんからの連絡が途絶えたから死んでるんじゃないか~って言っててね。心配になったから電話しちゃった。』
「そうだったんですか。ご心配をお掛けしてすみませんでした。」