恋を忘れた君に


改めて店内を見渡す。
花畑というだけあって、花をモチーフとした置物やランプ等が本当に可愛らしい。
その中に動物達も居て、行った事なんて勿論ないけれど、ヨーロッパの高貴な人たちの庭園という感じがした。

そうこうしている内に、料理が運ばれてきた。

「お待たせしました~。」
「・・・!可愛い!写真撮ろう。」

フランス料理というだけあって、料理がオシャレでかわいいのはもちろん。
先ほど沢渡さんが言っていた通り、食器までカワイイ。
料理の邪魔をしないように全体的にはシンプルで、お皿の右と左に陶器のりぼんが施されている。
目を輝かせながら写真を撮ったり、料理を見つめる私を見て、沢渡さんがまた笑った。
それにはしゃぎすぎたかと、冷静さを取り戻した。

「はは、気にしなくて良いのに。寧ろ喜んでくれている方が僕も嬉しいよ?」

首をコテン、と傾けながら優しく話してくれる。
あざとい。
そして改めてイケメンだ。

「いえ・・・大丈夫です。もう十分はしゃいだので・・・。」
「そう?残念。」

そこからはコース料理というだけあって、色々な料理が順番に出された。
その度に、控えめに写真を収めさせて頂いた。
そして沢渡さんには毎回笑われた。

最後にコースデザートとドリンクを注文した。
沢渡さんは珈琲。
私は紅茶。





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