恋を忘れた君に
然し、一緒に行っていた友達にはばれてしまい、
「あれなんだったの?!」
「まさか知り合い?!」
等と質問攻めにあったが、どれも
「知らない!」
で通した。
数日後のある日、登校時間がいつもより遅くなってしまった。
遅刻ギリギリで校門をくぐり、校舎までの道のりを小走りで向かっていると、部活動に入っている人達も、終わるのがギリギリだったのか走っていた。
先日、体育館で見た人も居たので、多分、あれはバスケ部だろう。
その中にはあの先輩も居た。
私に気がついた様で、足を止め、
「あ、」
と此方に向かって手を振られた。
私も一応足を止めたが、自分に振られているとは思わず、後ろを振り返り、人が居るのか確認した。
その動作に先輩は笑い出し、
「はは、君の事。またね。」
と私を指さし、また手を振り走り出してしまった。
控えめに私も手を振り返したが、見えていたかどうか。
早くなる鼓動は走っていた所為だ、と言い聞かせ、また走り出した。
同日、お昼休み。
友達と机をくっつけてお弁当を広げていた。
すると、
「「「キャーーーーーーーー!!!!!」」」
と黄色い声援が聞こえた。
「何々?何の騒ぎ?」
同じグループの一人の子が廊下に出て、様子を見に行った。
残されたものは気にせずお弁当を食べていた。
見に行った一人の子が急いで戻ってくると、
「一つ上の先輩達が来てるんだって!成瀬先輩も居るよ!」
「・・・成瀬先輩って誰?」
「もう!この前バスケ部に居た人だよ!」
「あー・・・。」
今朝の事を思い出し、成瀬先輩って言うのか、なんて考えながらお弁当に入っているミートボールをぱくり。
「成瀬先輩はね、やんちゃグループに所属しているのに、部活は真面目だし、頭も良いんだからね!!」
「へえ、そうなんだ。」