恋を忘れた君に


それから私は学校を一週間休んだ。
本当は、ずっとずっと行きたくなかったけれど、学校の担任が何度も電話を寄越して来たし、3度も訪問に来た。
此れが続くのかと思うと面倒で、仕方なく学校に行った。
通学路、勿論同じ方向の人も居て、私を見てはひそひそ話を始める人も何人か居た。
既に学校に行きたくなくなり、足が竦む。
でも此処で引き返してしまえばまた先生が来るし、それし、負けた事になる、気がした。

何とか学校には着いたが、周りから聞こえるひそひそ話は、通学路で目にした光景なんて可愛く見えるほどであった。
全学年、全校生徒から冷たい目で見られて居る様な気がして、顔を上げることが出来なかった。

教室に入った後も、自分の机に直行し、机に顔を突っ伏していた。
通り過ぎる女子のうち何人かが私の机にぶつかった。
きっと態とだろう。
その後、意地悪な笑い声が聞こえたから。

別れた後も、数か月に1度のサイクルで集団リンチの様なものは行われた。
その度、絢人の事を思い出した。
自分の所為であったのに、こんな事を想う資格はないけれど、私は未だ気持ちをすっぱり忘れられずにいた。
誰かに守られたぬくもりを知ってしまったから、そのぬくもりに甘えてしまっていた。

その気持ちを締まっておけば良かったものの、あの頃の私は愚かで、告白をしよう等と思い付いてしまったのだ。

その日のうちに、帰宅して直ぐ、手紙を書いた。
泣きながら、何度も何度も書き直して、やっと書き上げた手紙だった。
そして翌日の朝早くに登校し、彼の靴箱に忍び込ませた。
その日はそれだけで帰った。
両親が仕事に行く時間迄は近くの公園で時間を潰し見計らって家に帰った。
せっかく作ってくれたお弁当を自宅で食べるのは、些少の罪悪感があったけれど、仕方なくキッチンで広げて食べた。
それからいつもより早く起きた所為か眠気が凄かったので、直ぐに眠った。


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