恋を忘れた君に
恥じらいながらも握られた手は離すことなく。
それがまた可愛らしいなあ、なんて思いながら二人を見つめた。
私はこう言う二人をみるのが本当に幸せなのだ。
そんな彼らを見ていると、感じる視線。
視線の主は、沢渡さん。
「・・・なんでしょうか?」
恐る恐る彼に視線を向け、問いかけた。
彼はまた柔らかい笑みを浮かべ、首をゆっくりと横に振った。
この人はこれが素なんだろうか?
それとも本当はめちゃくちゃ腹黒いんじゃなかろうか?
でも相田さんの前で猫を被る必要があるだろうか?
ぐるぐると思考が廻った。
きっと無意識のうちに一人で百面相をしてしまっていたのだろう。
その様子に沢渡さんがクスクスと笑っていた。
初対面で醜態を晒してしまった事に恥ずかしさで消えてしまいたくなった。
「夢ちゃんて、面白い人だね。」
先ほどと変わらない笑顔のままで、そう、呟いた。
そのあとは、4人で買い物に行き、晩御飯はこじゃれたバルでお酒を呑みながら過ごした。
凄く楽しい、充実した1日だった。