私はあなたのストーカーです


「ひな」


廊下で、数日ぶりに悠とすれ違ったとき。


「昨日電話したんだけど。寝てた?」
「え……」


携帯を壊されたことは、誰にも話していない。


「あ、ごめん。気づかなった。どうしたの?」
「いや。明日からのテスト頑張ろうな」
「うん」


そういうと、悠は友達と行ってしまった。


「今日もカッコよかったなー、碓氷くん」


うっとりした瞳でそんなことを言う麻美は恋する乙女そのもので、きっと悠への気持ちは紛れもなく恋心なのだろう。


それでも

その恋心は、相当に歪んでいて――。


「っていうか。なんでウザコには頻繁に連絡してるわけ?」


報われない想いは暴力となって私へ向けられる。


「盗ってきてよ」
「え?」
「今度発売されるバッグが超可愛いんだよね。盗ってきてよ」


――…万引き?


「恥晒されるのと。犯罪者になるの。どっちがいい?」


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