私はあなたのストーカーです


テストが終わると球技大会の練習が始まった。


ただでさえ苦痛なのにクラス行事なんて――。


「っ、」


バレーの練習中、体育担当の女の先生の目を盗んでボールが私にぶつけられる。


面白がって飛ばしているのは、麻美とナミだ。


「仁依菜は、やらないのー?」
「わたしはパス。ボールなんて触って爪にヒビでも入ったら嫌だし」


仁依菜ちゃんはメイクやネイルが崩れるようなことを嫌う。


「どうしたの、宇崎さん」


指を抑えていたら、先生が近寄ってきた。


「大袈裟に痛がりすぎ」
「たかが突き指でしょ」


そんな声が聞こえてくる。


誰?


気づけば私を罵倒する子は増えていた。


グループ内からでなく、グループ外からも悪口が聞こえてくる。


「保健委員、誰?」


先生の問いかけに返事する子がいないのは、私と関わりたくないからだ。


「あ、あの。一人で大丈夫です。指なので」


そう言うと、「わかった」と先生が離れて行く。


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